翻訳という職業は、AIに取って代わられる?!翻訳業界の今後を、AI自身に聞いてみた!

総合

最近、翻訳という職業はAIに取って代わられる…という話をよく聞きます。

私は制作会社で翻訳コーディネーターとして勤務していますが、確かに下手な翻訳者さん・翻訳会社さんより、プロンプトで翻訳仕様を指示した状態の生成AIのほうが自然な訳文になっている…ということが多いです。

恐らくこれからは、ただ単に「翻訳して、はい終わり」ではなくて、そこにどのようにして付加価値をつけ足していくかが生き残りのカギになるんじゃないかなと思います。

翻訳業界は、今後どう変化していくんだろう…それをこともあろうに、渦中の生成AIのひとつ「ChatGPT」氏に聞いてみました!

じょにー:

あなたをはじめとする、生成AIの翻訳の進化はとても目覚ましいものだと思います。

生成AIによって翻訳業界が向こう10年くらいでどのように変わっていくか、その中で翻訳者に求められるものはどう変わっていくかを教えてください。

ChatGPT氏:

生成AIの進化が翻訳業界に与える影響は非常に大きいと考えられます。以下では、向こう10年で予想される翻訳業界の変化と、翻訳者に求められるスキルや役割について解説します。


翻訳業界の変化

  1. AI翻訳の品質向上と普及
    • 生成AIの翻訳品質はすでに高水準に達しており、特に一般的な文脈やフォーマルな文章では人間に近い精度を発揮しています。
    • 翻訳の「量産」が求められる分野(例えば、ウェブサイトやマニュアルの翻訳)では、AIがより多く採用され、コスト削減やスピード向上が図られるでしょう。
  2. ポストエディットの需要増加
    • AI翻訳の導入が進む一方で、その結果を「ポストエディット」(AI翻訳結果を人間が修正・改善する作業)する仕事が増えると考えられます。
    • 特に専門性が高い分野(法律、医療、技術文書など)では、AIの訳文を正確かつ自然な形に仕上げるスキルが求められるでしょう。
  3. クリエイティブ翻訳の重要性の増加
    • 映画の字幕や文学作品など、感情やニュアンスを重視する「クリエイティブ翻訳」分野はAIがまだ完全に代替できないため、人間の翻訳者の役割が重要なまま残るでしょう。
  4. 新しい翻訳ツールとワークフローの進化
    • 翻訳支援ツール(CATツール)にAIが組み込まれ、より効率的な作業環境が提供されるようになります。これにより、翻訳者は単なる「翻訳者」から「ツールの活用者」としての役割も担うことになります。

翻訳者に求められるスキルの変化

  1. ポストエディットスキル
    • AIが生成した翻訳を効率よく精査し、意味や文法、文化的ニュアンスを修正するスキルが不可欠です。
    • この分野に特化した資格やトレーニングの需要も増えるでしょう。
  2. 専門分野の知識
    • AIは専門分野の深い理解に欠けることがあるため、翻訳者が特定の分野に精通していることが競争力となります。
    • 例:医療翻訳者であれば、医療用語や最新の医学知識を理解していることが重要。
  3. クリエイティビティ
    • 映画字幕やマーケティング翻訳、文学翻訳など、創造性が求められる分野では、人間の感性が重視され続けます。
    • 直訳ではなく「意訳」を的確に行う能力が鍵となります。
  4. AIやツールの活用力
    • AIやCATツールを効率的に活用する技術力が必要になります。
    • 新しいツールや翻訳技術への適応力が、翻訳者としての生存戦略になるでしょう。
  5. コミュニケーション力
    • AI翻訳をクライアントと協力して改善するケースが増えるため、翻訳者にはクライアントやチームメンバーとのコミュニケーション力が求められるようになります。

翻訳者が生き残るための戦略

  1. 専門性の高い分野への特化
    • AIに代替されにくい専門分野(法律、医療、技術、文学など)でのスキルを磨く。
  2. 継続的な学習
    • AI技術や最新の翻訳ツール、業界動向について常に学び続ける。
  3. 人間らしさを活かす
    • 感情や文化的ニュアンスを理解し、それを翻訳に反映させる力はAIが持ち得ない人間特有のスキルです。
  4. ポストエディットのスキルを向上させる
    • ポストエディットに特化したトレーニングや資格を取得し、クライアントに信頼される存在になる。

まとめ

生成AIの進化により、翻訳業界は効率化が進む一方で、翻訳者の役割は「単純な翻訳」から「高度な編集・専門性を活かした翻訳」へとシフトしていきます。AIを脅威ではなくパートナーとして活用しながら、独自のスキルを磨くことがこれからの翻訳者に求められるでしょう。

既に「一般的な文脈やフォーマルな文章では人間に近い精度を発揮」しているということ、また「翻訳の『量産』が求められる分野(例えば、ウェブサイトやマニュアルの翻訳)では、AIがより多く採用され、コスト削減やスピード向上が図られる」ということは、その通りだと思います。

先ほど申し上げたように、下手な翻訳者・翻訳会社よりもプロンプトを入れたChatGPTのほうが自然な訳文を生成できますし、私の会社でも外資系のクライアントから物量のあるwebページの機械翻訳~ポストエディットを受注するパターンが増えてきています。また、webページのような販促的な側面の強い翻訳では、クリエイティブ要素のある「トランスクリエーション」(翻訳 translation + 創造 creation、語意との大きな違いが生まれないことを条件に訴求力やインパクトを追求すること)が求められることも多いです。

翻訳者が生き残るためには、やはりポストエディットにも対応できる柔軟性と、トランスクリエーションができる日本語のセンスを身に着けることが大切そうですね。

ただ、一つ心配なのが、今のところ人間の独壇場であるクリエイティビティもまた、AIが身に着ける可能性はないのか、ということです。

これも、ChatGPT氏自身に聞いてみました。

じょにー:

生成AIが人間の感性に追いつくことは、将来的にあり得るのでしょうか。

ChatGPT氏:

生成AIが人間の感性に完全に追いつく可能性は、理論的には存在するものの、現時点では技術的・哲学的な観点から限界があると言えます。以下では、生成AIと人間の感性についての可能性と限界をいくつかの視点から考察します。


生成AIが感性に追いつく可能性

  1. 感性のシミュレーションは進化する
    • AIは膨大なデータセットからパターンを学習し、特定の文脈や文化的背景に応じた「感性的な」表現を生成する能力を向上させています。
    • 例えば、小説や詩、映画の脚本のような創造的なテキストもAIが書けるようになりつつあります。
  2. 情緒的な反応を模倣する技術
    • 今後、AIは感情を分析・模倣する技術をさらに発展させ、人間の感情や感性を深く理解して表現することが可能になるかもしれません。
    • 例:AIがユーザーの感情や背景をリアルタイムで把握し、それに応じた翻訳や表現をカスタマイズする。
  3. 人間のフィードバックによる精度向上
    • AIが生成する表現を人間が微調整し、そのフィードバックを学習データに取り込むことで、感性に近いアウトプットを生成する可能性があります。

生成AIの限界

  1. 感性の本質的な理解の欠如
    • 感性は、個々の人間の体験、文化、哲学、直感に基づいており、これをAIが完全に理解するのは困難です。AIはデータのパターンを「模倣」することはできても、実際の感情や体験に基づく「本質的な理解」を持つわけではありません。
  2. 創造性の「非論理性」の再現の難しさ
    • 人間の創造性や感性は、しばしば予測不可能で非論理的なプロセスを含みます。AIはデータに基づくため、完全に新しい価値観や哲学を「ゼロから」生み出すことはできません。
  3. 文化的・文脈的な微妙さの限界
    • 感性は文化や個々のバックグラウンドに大きく依存します。AIは特定の文化や文脈を学習できますが、個人レベルの細やかなニュアンスを捉えるのは依然として難しいです。
  4. 倫理や意図の欠如
    • 人間の感性には「意図」や「倫理観」が伴います。AIはこれを持たないため、感性的な表現をしても背景にある人間的な価値観や意図が欠けています。

感性の再現が難しい例

  1. 映画の字幕翻訳
    • 映画のセリフにはキャラクターの背景や心理、観客の感情を揺さぶる微妙な表現が含まれています。こうした「間」や「暗示的な意味」をAIが完全に再現するのは困難です。
  2. 詩や文学作品
    • 詩や文学には、言葉遊びや曖昧性、象徴的な表現が含まれており、これらは単なる言語処理を超えた感性や哲学が必要です。
  3. ユーモアや皮肉
    • ユーモアや皮肉は文化的な背景や言葉のニュアンスを深く理解する必要があり、AIがこれを自然に再現するには限界があります。

将来の可能性と課題

  • 生成AIは今後さらに進化し、感性的な表現やニュアンスの再現が可能になるかもしれません。ただし、完全に人間の感性を超えるには、「体験」や「意識」といった人間特有の特性を模倣することが求められ、それが技術的に可能になるかどうかは未知数です。
  • 感性を超えるよりも、「人間と補完し合う存在」としてAIが進化することの方が現実的かもしれません。

結論

生成AIが人間の感性に完全に追いつく可能性はある程度存在しますが、現時点では「模倣」の範疇に留まる部分が大きく、感性の本質を超えることは難しいと考えられます。しかし、AIは人間の感性を補完し、翻訳や創造性の支援者として発展していくでしょう。その中で、人間ならではの体験や感性を持つ翻訳者やクリエイターの価値は揺るがないといえます。

つまり、AIは人間の感性を模倣することはできても、完全にそれを再現することはできないだろう、ということです。

ChatGPT氏が述べている通り「感性を超えるよりも、『人間と補完し合う存在』としてAIが進化する」のに備えて、AIと手を取り合って協働していくことが大事なのではないかと思います。

なにをAIに任せて、どこを人間が担うのか…そこを考えてAIとうまく付き合っていきたいですね。

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