親や世間の言うことがすべてじゃない――映画『スーパーマン』が伝える、自分で考えることの大切さ

映画

明るく、希望に満ちた新生『スーパーマン』

2025年、新生『スーパーマン』が公開されました。早速観てきましたが、一言でいうと「今の時代にピッタリの、明るく前向きなスーパーマン」でした。これまでのダークでシリアスな雰囲気の過去作とは一線を画し、本作のヒーロー像はとてもポジティブ。スクリーンいっぱいに広がる希望と爽やかさに、観ながら胸が熱くなりました。

とはいえ、明るいだけの単純なヒーロー映画ではありません。「両親の言うことが絶対じゃない」「SNSの情報に左右されず自分で真偽を見極める」といった現代的なテーマもしっかり織り込まれており、観客の心に訴えかけてきます。ネタバレは避けつつ、そんな本作の魅力を語ります。

迫力の映像とポップな演出

まず圧倒されるのがアクションシーンの迫力です。序盤から壮大なバトルが展開し、ビル街での大破壊や空中戦など息を呑む場面が次々と登場します。スーパーマンならではの超絶パワーを存分に発揮しつつも、無敵ではなく「負けちゃうかも?」とハラハラする展開もあり、手に汗握ります。CGも違和感なく美麗で、まさにコミックの世界が目の前で動いているような感覚でした。

映像の色彩と演出トーンも印象的です。全体が明るくカラフルで、ヒーロー映画らしい華やかさが際立っています。ジェームズ・ガン監督だけあって、シリアスな中にもクスッと笑えるユーモアが散りばめられており、重くなりすぎないのも良いところ。シリアス一辺倒にならず、ポップで遊び心のある演出のおかげで純粋に楽しい気持ちになれます。迫力の戦闘シーンの最中にコミカルなやりとりも差し込まれ、緩急のバランスが絶妙です。さらに、小ネタやファンにはたまらないオマージュ演出も随所に散りばめられており、終始ワクワクさせられました。ヴィランのレックス・ルーサーも存在感抜群で、派手なバトルだけでなく緊張感ある心理戦も味わえます。

「自分で真偽を見極める」スーパーマンの葛藤と成長

本作の見どころは、主人公スーパーマン(クラーク・ケント)の内面的な葛藤と成長です。スーパーマンは惑星クリプトンから地球に送り出され、地球人の両親に育てられたヒーローですが、本作では 親から託された使命 と 自分自身の信じる正義 との間で悩み葛藤する姿が描かれます。幼い頃から養父母に「善いことをしなさい」と教えられ、故郷の両親からは人類の希望となる役目を託された彼。しかし、親の教えに従うだけではいられない瞬間が訪れ、自分の進むべき道を自分自身で選ばねばならなくなります。

物語の中盤、彼の行動に対して世間から批判や疑問の声が巻き起こり、スーパーマン自身も「本当に自分は正しいことをしているのか?」と迷い始めます。ここで浮かび上がるのがまさに「両親の言うことが絶対じゃない」というメッセージ。どんなに愛情深い教えでも鵜呑みにせず、自分の頭で考えることが大切だとクラークは痛感するのです。一度親の教えを疑い、自分の心に問い直す彼の姿には、ヒーローでありながら人間らしい弱さと強さが滲んでいました。

さらに、「SNSの情報に左右されず、自分で真偽を見極める」というテーマも盛り込まれています。悪役の策略でネット上に偽情報が流され、人々が彼を疑う展開にはハッとさせられました。ヒーローでさえネットのバッシングに傷つき悩む描写は、SNS時代ならではのリアルさです。それでもクラークはデマに振り回されず、自分の信じる正義を貫こうと必死にもがきます。一度は心が折れかけますが、「何が真実か」を自分で見極め直し、再び立ち上がりました。そしてヒーローとしてだけでなく、一人の人間として成長するスーパーマンの姿には心を打たれました。

現代社会とのリンク (SNSや親の価値観に流されない生き方)

スーパーマンが抱えた葛藤やテーマは、そのまま現代を生きる私たちの胸にも突き刺さります。親の期待や世間の常識に縛られず自分の道を選ぶ難しさ、SNSにあふれる情報に流されず真実を見抜く大切さ――どれも私たちにとって他人事ではありません。特に昨今はSNSで拡散される情報に惑わされたり、フェイクニュースに翻弄されたりすることが日常茶飯事ですよね。そんな中、本作のスーパーマンは周囲に流されず自分の信念を貫き通します。世間から批判され誤解されても、自分で確かめた正義を貫くその姿は、現代の私たちにも「周りの声に流されず、自分で考えて判断する勇気」を与えてくれるように感じました。

また、「親の言うことが絶対じゃない」というテーマも、親世代と子世代の価値観ギャップが問題視される今の社会と繋がっています。親の期待や古い価値観に縛られず自分の生き方を模索する若者も多いでしょう。本作のクラークも、親の理想通りではなく自分なりの答えを見つけ出します。その姿は親に感謝しつつも自分の人生の舵を自分で取ろうとする私たちの姿と重なり、深く共感できました。

要するに、超人的な物語でありながらテーマは私たちの生活に直結しています。だから観終わった後、ただ爽快なだけでなく「自分ならどう生きる?」と考えさせられる余韻が残りました。

まとめ – この映画が観客に問いかけるもの

明るく楽しいヒーローアクションでありながら心に響くテーマを持つ本作は、観客に様々な問いを投げかけます。私がこの映画から感じたメッセージの一つは「あなたは周りの声に左右されず、自分の信じる道を進めていますか?」という問いかけでした。スーパーマンを通して、私たちは何を信じ、何のために行動するのかを改めて考えさせられます。

鑑賞後、「ヒーローは完璧だからすごいんじゃなく、迷いながらも信念を貫くから心を打つんだ」と感じました。スーパーマンは、誰に何と言われようと自分の信じる正義を貫く勇気と人間味ある優しさを見せてくれます。それは現代を生きる私たちへのエールにも感じられました。

総じて、新生『スーパーマン』は爽快なエンターテインメントでありながら、一人ひとりに「自分自身のヒーローになるには?」と問いかけてくる映画です。アクションにワクワクし、ユーモアにクスッと笑い、鑑賞後には前向きな気持ちと考える材料をくれる…そんな心地よい余韻が残りました。ヒーロー映画が好きな方はもちろん、現代社会で悩みながら頑張るすべての人に刺さるメッセージが詰まっています。ぜひ劇場で新しいスーパーマンの物語に触れてみてください。きっと自分だけの“正義の在り方”について考えるきっかけになるはずです。

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